実用化技術等(平成7年)

最終更新日 2023年3月13日 | ページID 052146

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【平成7年度】

1.ハナエチゼン、コシヒカリの穂肥量と気象変化による刈取開始期指標の変動
2.倒状軽減剤入り肥料によるコシヒカリの品質・食味向上
3.玄米の化学成分とアミログラムデーターに基づく食味推定式
4.乾田直播栽培における出芽苗立ち安定化のための覆土深及び土壌水分管理
5.スターホイル(ロークロップ車輪)装着トラクタによる水稲の管理作業
6.中山間地域における農業法人の類型化と機能
7.ウイルスフリー球を用いたラッキョウの1年掘り栽培
8.マメ科植物のサンヘンプを縁肥に用いた夏播きブロッコリーの減化学肥料栽培
9.半自動移植機に適応するキャベツ苗の大きさと育苗期間
10.一寸ソラマメの播種期の前進化と苗床摘芯による生育・開花促進技術
11.真空幡種機によるダイコンの播種粒数と生育・収量・収益
12.日本スイセン切り花の低温貯蔵
13.ウメ樹に対するかんがい水及び土壌中の塩素の生育阻害濃度
14.ウメのせん定程度が樹体栄養と花芽着生に及ぼす影響
15.代かき前の気象要素による水田土壌窒素無機化量の予測
16.リゾプス属菌によるトマト収穫果の腐敗と対応技術
17.酸素処理によりオカラ食物繊維の食品素材化と食パンへの利用
18.ウシの過剰排卵処置後の子宮再灌流による胚の回収
19.ウシの過剰排卵処置によって得られたDランク胚の発育能
20.鶏ロイコチトゾーン病の採卵鶏銘柄による感染率の相違

 

平成7年度

ハナエチゼン、コシヒカリの穂肥量と気象変化による刈取開始期指標の変動

[要約]穂肥の多施用により、籾水分の低下や青籾残存率等の指標に変化があり、刈取開始期をハナエチゼンでは0~1日、コシヒカリでは1~2日遅くする必要がある。また、穂軸黄化率は登熟期の気温により大きく変動するので、注意が必要である。

農業試験場・作物経営部・作物研究チーム

契機

研

部会名

作物生産

専門

栽培

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 適期収穫を行うため、籾水分が25%を下回る時期を刈取開始期と定め、出穂後の積算気温、穂軸黄化率、青籾残存率により判断指標を作成した(北陸農業研究成果情報第5号)。

しかし、水稲の栄養状態により、これらの指標に変化が見られるので、穂肥の多施用による指標の変動を明らかにした。

 

[成果の内容・特徴]

 

(1)籾水分が25%を下回るまでの出穂後の積算気温は、ハナエチゼンでは、多肥(N成分で約7kg/10a、出穂後約30日の止葉のSPAD値31~34)は972℃、慣行(N成分で約4kg/10a、出穂後約30日の止葉のSPAD値24~27)は952℃、コシヒカリは多肥(出穂後約30日の止葉のSPAD値32~35)が1023℃、慣行(出穂後約30日の止葉のSPAD値24~28)は990℃であった。(図1)。

(2)青籾残存率に対する多肥の影響は、ハナエチゼンでは小さいが、コシヒカリでは大きく、慣行に対し5~10%高くなった(図2)。

(3)穂軸黄化率は、刈取適期判定の一指標とされてきたが、高温年と低温年の差が大きく、普遍性には問題があると考えられた。これに対し、青籾残存率の変動はハナエチゼン、コシヒカリとも5~10%で、比較的少ない(図3)。

(4)以上の結果から、表1の刈取開始期指標が得られ、多肥区は慣行より、ハナエチゼンで0~1日、コシヒカリでは1~2日、刈取開始期を遅らせる。

 

[成果の活用面・留意点]

 

(1)刈取開始期を判断する指標として利用できる。

(2)調査は、出穂後の積算気温によって予測される刈取開始日の4~5日前より行い、生育調査結果を基にした平均的な個体を採取して行う。

(3)籾の黄化の判断は肉眼で行うが、標準色見本帳の10Y9/6の色と見比べ決定する。

 

[具体的データ]

 

 
 

 

 

 

表1 刈取開始期指標            

品種

 

 

出穂期

(月.日)

 

積算

気温

(℃)

青籾

残存率

(%)

登熟日数

の変化

(対慣行)

ハナエチゼン

慣行

7.22

952

約10

-

 

多肥

7.22

972

約10

+0~1日

コシヒカリ

慣行

7.31

990

10~15

-

 

多肥

8.1

1023

約20

+1~2日

 

 

 

 

[その他]

 研究課題名:北陸産米の品質食味向上に関する研究

 予算区分 :国補(地域重要新技術)

 研究期間 :平成6年度(平成4~6年)

 研究担当者:林 恒夫、井上健一、尾嶋 勉

倒伏軽減剤入り肥料によるコシヒカリの品質・食味向上

[要約]重粘土湿田地帯ではコシヒカリの穂肥を倒伏軽減剤入り肥料とし、出穂前22~23日(幼穂長2mm)に施用することにより、節間伸長が抑えられ登熟期間の乾物生産速度が高まる。このため、従来の施肥体系に比べ玄米中の窒素濃度が低減し、品質食味が向上する。

福井県農業試験場・作物経営部・食品加工研究所

連絡先

0776-54-5100

部会名

作物生産

専門

栽培

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 品質食味の変動要因の一つとして玄米の窒素含有率が指摘されるが、良食味のコシヒカリにおいても栽培により玄米窒素濃度が高まると、食味総合評価値が低下傾向となる。そこで節間の伸長を抑制するパクロブトラゾールを混合した倒伏軽減剤入り肥料[有効成分パクロブトラゾール0.06%、窒素15%(速効性9:緩効性6)、リン酸4%、カリ15%](以下IBP粒剤肥料)を用い、施用時期を早めて、品質食味に及ぼす影響を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

 (1)IBP粒剤肥料を出穂前23日に施用することにより、従来の施肥体系に比べ総籾数が増す一方、稈長が短くなり受光態勢が改善された。このため登熟期間の乾物生産度が高まり、㎡当り登熟粒数が増加した(表1)。

 (2)登熟期間の乾物生産速度と玄米中の窒素濃度には負の相関が認められ、登熟期間の乾物生産(主に穂部)が高いと玄米中の窒素濃度は減少する(図2)。

 (3)IBP粒剤肥料の施用により、玄米の外観品質が向上するとともに、窒素濃度が減少し、食味総合評価価値が向上する(表2、図1、3)。

 

[成果の活用面・留意点]

 (1)重粘土水田で栽培されるコシヒカリの高品質良食味化を図ることができる。

 (2)当資材は、第1回目の穂肥として出穂前22~23日(幼穂長2mm)にa当り1.5kg(窒素成分で0.23kg)を均一に散布し、施用後の水管理に留意する。なお2回目の穂肥は普通化成肥料とする。

 

[具体的データ]

表1 IBP粒剤肥料の施用法と生育及び収量の関係

№

年度

第1回目穂肥(Nkg/a)

成熟期の生育量

 

収量構成要素

稈長

(cm)

穂長

(cm)

穂数

(本/㎡)

倒伏

(0~5)

乾物重

(g/㎡)

窒素吸収量

(Ng/㎡)

 

総籾数

(万粒)

登熟

(%)

千粒重

(g)

玄米重(同左比)

(kg/a)

1

平成5年度

IBP粒剤-28日(0.2)

84

19.3

405

3.3

1035(10.8)*

11.9

 

3.31

82.3

22.1

59.1(102)

2

 

〃   -23日(0.2)

85

18.0

412

3.5

1345(11.5)

12.3

 

3.24

86.4

22.5

63.0(108)

3

 

  化成-18日(0.2)

95

18.7

395

3.8

1337(10.0)

12.7

 

3.14

82.4

22.4

58.0(100)

4

平成6年度

IBP粒剤-23日(0.4)

85

18.3

451

2.0

1514(19.8)

11.9

 

3.34

90.7

21.5

65.1(101)

5

 

〃   -23日(0.2) 

90

19.2

441

2.0

1513(18.0)

12.3

 

3.38

89.6

21.8

67.8(106)

6

 

  化成-18日(0.2)

94

20.0

405

4.0

1468(16.7)

12.6

 

3.19

86.5

21.9

64.2(100)

№4を除き第2回目の穂肥は10日後に化成肥料を窒素成分で0.2kg/a施用.( )*登熟期間のCGRg/㎡・日.

 

表2 IBP粒剤肥料の施用法と品質食味の関係

№

玄米品質(%)

 

化学成分

 

食味官能値

完全粒

活青

乳白

その他

 

窒素濃度

(%)

Mg/K

アミロース含量

(%)

 

 

外観

香り

うま味

粘り

硬さ

総合

1

67.5

30.7

1.5

0.3

 

1.34

1.60

17.3

 

0.21*

-0.08

0.33*

0.33*

-0.08

0.29*

2

68.5

28.8

2.0

0.7

 

1.43

1.72

17.6

 

0.21*

0

0.42*

0.21

-0.33*

0.37*

3

56.2

41.3

2.1

0.4

 

1.54

1.67

18.0

 

0

0

0

0

0

0

4

86.5

3.3

8.3

1.9

 

1.24

1.53

16.4

 

0.17

0.04

0.17

0.33*

-0.04

0.29*

5

84.0

4.5

9.4

2.1

 

1.29

1.52

16.3

 

-0.04

-0.04

0.13

0.17

-0.08

0.17

6

81.6

4.0

13.0

1.4

 

1.33

1.55

16.4

 

0

0

0

0

0

0

          有意差* 平成5年0.14 0.06 0.18 0.22 0.20 0.19

                 6年0.18 0.05 0.25 0.25 0.23 0.24

 

 

 

[その他]

 研究課題名:北陸産米の品質・食味向上技術の確立

 予算区分 :国補(地域重要新技術)

 研究期間 :平成6年度(平成4~6)

 研究担当者:佐藤 勉、佐藤 有一、井上 健一

 発表論文等:なし

 

玄米の化学成分とアミログラムデータに基づく食味推定式

[要約]食味総合評価値と相関を有するMg/K×N(玄米)およびブレークダウン/最高粘度(精米)を変数とした重回帰分析による食味推定式により産米の食味を簡易に評価できる。

福井県農業試験場・作物経営部・食品加工研究所

連絡先

0776-54-5100

部会名

作物生産

専門

食品品質

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 

 良食味米の新品種育成については各方面よりニーズが高まっており、多数の系統より選抜・選定がなされている。しかし、食味評価は官能試験で行われるため、大量の試料および労力が必要である。そこで米の理化学的特性に基づいた食味推定式を作成し、評価の簡易迅速化を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

 

 (1)平成5年6年産の北陸地域5ヶ所で栽培されたアキヒカリ、ホウネンワセ、コシヒカリ、日本晴の4品種について米の理化学的成分と食味総合評価値の間の単回帰分析を行ったところ、Mg/

K×N、ブレークダウンおよび味度メータ値で有意な相関が認められた(表1)。

 (2)平成6年度データより食味総合評価値を目的変数とし、重回帰分析の変数増減法による変数選択の結果、玄米のMg/K×Nおよび精米のブレークダウン/最高粘度を説明変数とする下記の重回帰式が得られた。

 Y=0.0170X1+6.5178X2-3.9464(R2=0.702,R=0.838)

      X1:Mg/K×N  X2:ブレークダウン/最高粘度

 (3)この重回帰式を用いて平成6年度の奨決系統および平成5年産の20サンプルに適用し、検証したところ、おおむね食味判定が可能であるということがわかった(図1、図2)。

 

[成果の活用面・留意点]

 

 (1)試料が比較的少量の場合や検体が極めて多数である場合、食味評価の簡便法として、本法はこれを補完できる。

 

[具体的データ]

 

 表1 食味総合評価値と理化学的特性値の相関値

項目

平成5年

平成6年

 

整粒歩合

-0.220

0.189

 

精米白度

0.546*

0.009

 

玄米窒素

-0.475*

-0.417

 

Mg/K

0.450*

0.524*

 

Mg/K×N

0.671**

0.767**

 

アミロース

-0.220

-0.038

 

最高粘度

0.525*

0.107

 

ブレークダウン

0.544*

0.529*

 

ブレーク/最高粘

0.447*

0.764**

 *>0.444

味度メータ

0.605**

0.645**

**>0.561

HON

0.627**

0.380

 

 

(n=20)

(n=20)

 

 

 

 

 

 

[その他]

 研究課題名:北陸産米の品質・食味向上技術の確立

 予算区分 :国補(地域重要新技術)

 研究期間 :平成6年度(平成4~6年)

 研究担当者:佐藤 勉、佐藤有一

 発表論文等:

 

乾田直播栽培における出芽苗立ち安定化のための覆土深及び土壌水分管理

[要約] 軽埴土における乾田直播で出芽苗立ち率を向上させるため、砕土率は60%以上、播種時の覆土深は3cm、を目安とし、出芽期までの土壌水分は含水率で25~30%(pF1.5)を目標とした管理が必要である。

福井県農業試験場・作物経営部・直播栽培チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

作物生産

専門

栽培

対象

稲類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

 

 水稲生産の大幅なコスト低減には、大区画圃場を用いた乾田直播栽培の確立が急務となっているが、粘土質の多い土壌条件では、漏水や連作による地力低下が少ない一方、播種時の覆土条件がその後の出芽苗立ち率に及ぼす影響が大きい。そこで、本県平坦部の大半を占める軽埴土(LiC)における出芽苗立ちの向上条件について検討した。

 

[成果の内容・特徴]

 

 (1)軽埴土(LiC)では、出芽に対し覆土深の影響が極めて大きく、次いで砕土率の程度が出芽を左右した。覆土深は3cmと浅い条件で、砕土率は70%と高い条件で各品種とも安定した苗立ちを示したが、覆土率が5cmと厚かったり、砕土率が60%未満の条件では鞘葉が覆土中でラセン状に伸長し、表層に達しない個体が多かった(図1、表1)。

 

 (2)播種後出芽までの生育期間における土壌中の幼芽幼根の生長は土壌含水率が25~30%(pF1.5)で最も伸長速度が大きく15℃では2mm/日、20℃では4~5mm/日に達した。このため、出芽苗立ち率も向上した。しかし20%未満では水分不足、35%以上では酸素欠乏等により生育は著しく低下した(図2、図3)。

 

[成果の活用面・留意点]

 

 (1)軽埴土地帯においては覆土深3cm、砕土率70%以上で乾田直播の出芽苗立の安定向上を図ることができる。しかし気象条件によりドライブハローによる砕土率の向上が図れない場合は、深播きにならないよう播種機を調節する。

 

 (2)播種後出芽までの20~30日間は、暗渠により排水を良くし、晴天が続き土壌表面が白く乾燥した場合は灌水して土壌含水率が25~30%を目安とした水分管理を継続する。

 

[具体的データ]

 

 

 

[その他]

 研究課題名:乾田直播栽培における出芽苗立ち向上試験

 予算区分 :国補

 研究期間 :平成6年度(平成5~6年)

 研究担当者:佐藤 勉

 発表論文等:乾田直播栽培における覆土深および土壌水分が出芽苗立ちに及ぼす影響、

       農業および園芸 第70巻 1号  1995.

 

[平成7年度 普及に移す技術]

スターホイル(ロークロップ車輪)装着トラクターによる水稲の管理作業

[要約]22kWトラクター用の鉄製中空星型車輪(スターホイル)を開発し、トラクターによる水稲管理作業を可能にした。走行は深さ30cmまでに円錐貫入抵抗で0.6~0.7MPa(6~7kgf/c㎡)あれば可能である。作業能率は施肥が約1~1.5ha/h、除草液剤散布が約0.75ha/hで、走行による稲株損傷は少なく、減収率は2~3%に納まり、省力的で軽労な高能率管理法として期待できる。

 

福井県農業試験場・作物経営部・作業システムチーム

契機

研

部会名

営農・作業技術

専門

機械

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 

 大区画圃場あるいは大面積を対象にした施肥・防除等では多量の資材を扱うため、従来の作業法では労働負担の増大や能率の低下を招くことが多くトラクタや管理機による乗用作業が望まれる。このため、湿潤で重粘な圃場条件下に適応でき、しかも条間を走行可能なトラクター用スターホイル(ロークロップ車輪)を開発し、水稲管理の1人作業化とともに低コスト、高能率、快適化を図る。

 

[成果の内容・特徴]

 

(1)開発したスターホイルの概要

・スターホイルの概要は図1のとおりで、重量は前輪85kg、後輪150kgである。

(2)スターホイルの機能・走行性

・22kW(30PS)トラクタ(施肥作業時の本体重量約1227kg、総重量約1747kg)装着では、深さ30cmまでに円錐貫入抵抗(SR-II型)0.6~0.7MPa(6~7kgf/c㎡)程度以上の土層を有すれば、安定した走行が可能となる(図2)。

・同じ走行路を重ねて走行すると、轍の幅、深さともに拡大する。3回の走行で、幅は20cm、深さはラグ基部深で24cm、ラグ先端部深で36cm程度となる(表1)。

(3)管理作業への適用性

・圃場内作業は1人で可能となり、1.7ha程度の大区画圃場における作業能率は、ブロードキャスタ(散布幅8m)による施肥作業(40kg/10a)で、約1.5ha/h、ブームスプレヤ(散布幅8m)による除草液剤散布作業(80ℓ/10a)で約0.8ha/hとなる(表2)。

・車輪は条間を走行でき、さらに、ディスク状であるため泥土の付着も少ない。稲株の損傷は圃場の直進部ではほとんどなく、旋回部で多少発生するが、2~3回の走行でも全体で1%程度と僅かである。このため、走行による穂数、収量への影響は小さく、2~3%程度の減収率で納まる(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

 

(1)基盤整備が終了し、耕盤が安定した大部分の圃場で適用できる。

(2)出穂期頃でも作業は可能で、数日後には一時的に倒された稲も回復する。また車輪は試作段階であるため、形状、構造、対象トラクタ等について、さらに検討する。

 

[具体的データ]

 

 

表2 管理作業能率

作業名

時期

作業機

作業幅

(m)

作業速度

(m/s)

圃場作業効率

(%)

作業能率

(ha/h)

資材散布量

除草剤散布

6/11

ブームスプレヤ

8

0.48

54.3

0.75

DCPA液剤80ℓ/10a

追肥

6/25

ブロードキャスタ

8

0.43

79.0

0.98

化成肥料 15kg/10a

穂肥

8/6

ブロードキャスタ

8

0.72

73.9

1.53

化成肥料 40kg/10a

注)乾田直播圃場(面積1.73ha)での成績

 

表3 走行による穂数及び収量への影響

栽培様式

直進部1)

旋回部1)

圃場全体

穂数

への

影響

乾田直播 穂数(本/㎡) 

362(98.4)

321(92.5)

360(98.1)

移植   穂数(本/㎡)

486(98.6)

474(92.0)

485(97.8)

収量

への

影響

乾田直播 収量(kg/10a)

396(98.5)

438(93.6)

398(98.0)

移植   収量(kg/10a)

575(97.8)

607(97.9)

579(97.8)

 

 

注 1)轍周辺の作業部と轍から2m以上離れた部分を含む

  2)( )内は、走行の影響を受けない部分に対する指数

 

[その他]

 研究課題名:大区画水田等における乾田直播のための作業体系の確立

 予算区分 :国庫(先進的水田基盤営農対策実証調査)

 研究期間 :平成6年度(平成5~9年)

 研究担当者:北倉 芳忠、鹿子嶋 力、尾嶋 勉

 発表論文等:重粘土・大区画水田における乾田直播のための作業体系の確立、第7報

       水稲用ロークロップ車輪の試作と管理作業、農作業研究、第28巻、別号1、1993

 

[平成7年度 普及に移す技術]

中山間地域における農業法人の類型化と機能

[要約]中山間地域において、自治体・農協等の支援を受けて設立された農業法人を類型化し、それぞれの組織体制と機能、支援策を明らかにする。

福井県農業試験場・作物経営部・地域営農研究チーム

契機

研

部会名

営農・作業技術

専門

経営

対象

 

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 中山間地域においては耕作放棄が深刻な問題となっており、農用地の保全機能を有する組織の有成が要請されている。本情報は、先進事例から中山間地域の農業法人を類型化し、その組織体制と果たすべき機能、さらに支援策を明らかにする。

 

[成果の内容・特徴]

1)自治体・農協等の支援を受ける中山間地域を対象とする農業法人は、(1)自らが経営受託をする規模拡大型、(2)農地の集積を支援し、それをベースに将来担い手を独立させようとする担い手育成型、(3)地域の農家より作業を受託し、特定の担い手に再委託する再委託型の三つに類型化される(表1)。

 

2)各類型の組織体制の特徴は次のとおりである(図1)。

(1)規模拡大型--農協長が出資して良事組合法人や有限会社を設立し、農協として資金貸付けや機械リースなどの支援を行う。そこに専従オペレータを採用し、経営受託・作業受託を行う。

(2)担い手育成型--農協に加えて自治体も支援に加わり、財団法人としての市町村公社を設立する。公社職員が水管理、畦畔草刈を除く作業の受託を行い、同時に、公社ではできない経営受託のために子会社(有限会社)を設立し、将来それを独立させる構想を持つ。

(3)再委託型--農協・自治体のほかに森林組合や商工会も出資し、(財)市町村公社を設立する。農作業受託とともに、森林管理や村おこし業務も行う。ただし、公社の農作菜受託能力は圃場条件から制約を受け、一定の部分を地域内の農家に再委託する。

 

3)担い手育成型と再委託型では、支援組織が損失補填を行うとともに、法人への出向職員が増える。同時に、多額になる出資金の利息分を運営費に充てることになる(表1)。

 

4)同上の両型は、耕作放棄農家比率に見るように立地条件が厳しく、(作業)受託する圃場の条件の吟味が必要である。主要な機械作業の受託規模として、担い手育成税は公社オペレータ1人当り7~15ha、再委託型は公社オペレータ1人当り5~8haにとどまる。

 

[成果の活用面・留意点]

 本情報は、立地条件の異なる中山間地域において、農業法人を設立・運営するときの選択肢として活用できる。

 

[具体的データ]

表1 中山間地域農業法人の類型と特徴

類型

規模拡大型

担い手育成型

再委託型

事例

大野市総合農場(福井県)

向原町農業公社(広島県)

橿原町農業公社(岡山県) 

 

グリンちゅうず(滋賀県)

清里村農業担い手公社(新潟県)

加茂川せんたろう公社(〃)

機能

農業経営・農作業受託

農地資源管理

農地・森林資源管理

 

 

担い手育成

村おこし

 

 

 

担い手育成

支援主体

農協

自治体+農協

自治体+農協+

 

 

 

森林組合+商工会等

支援内容

貸付資金優遇

損失補填

損失補填、機械無償貸与

 

機械リース料金減免

 

 

資本全及び

1,000万円程度

1,000~5,000万円程度

5,000万円以上

活用法

 

利息を運営費に

利息を運営費に

立地条件

 

 

 

耕作放棄農家率

10%未満

10~40%

30%以上

圃場条件

 

基盤整備田に限る(優先)

基盤整備田に限る(優先)

注)耕作放棄農家比率は、耕作放棄農家数を水稲作付け総農家数で除したものである。

 

 

[その他]

 研究課題名:農葉生産法人の設立・運営条件の解明

 予算区分 :県単

 研究担当者:朝日泰蔵、玉井道敏、鹿子嶋力、石川武之甫

 研究期間 :平成6年度(平成4~6年)

 発表論文等:中山間地域における農業法人の役割と再編方向、北陸農業経営研究資料№33、1995

 

ウイルスフリー球を用いたラッキョウの1年掘り栽培

[要約] ラッキョウのウイルスフリー種球を用いた栽培では、2年掘りより1年掘り栽培で増収効果が高い。また、密植多肥で分球が促進され、高い収量が得られる。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・バイテク研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

葉茎菜類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

 福井県のラッキョウ(ラクダ系福井在来)の栽培面積は約200haあり、本県独特の小粒の花ラッキョウ加工用2年掘り栽培と青果市場出荷用1年用1年掘りとに大別される。ラッキョウのウイルスフリー化による増収効果はすでに他県でも認められているが、ここでは、フリー球を用いた本県の作型での適用方法を確立する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)作型(表1)

 ア.慣行に従い、条間30cm、株間15cm、1穴2球植えでウイルスフリー球と罹病球との生育の違いを比較したところ、植付1年後のウイルスフリー球の生育は罹病球と比較して旺盛であった。しかし、2年後にはその差はなくなり、ウイルスフリー球は2年掘りより1年掘りに適することが推察された。

(2)1年掘りの収量(表2)

 ア.種球は慣行と同程度の3~4gのものを用いて1穴2球植えで栽培した結果、ウイルスフリー球の1年掘り栽培では、収量が罹病球よりもかなあり向上した。

 イ.慣行の2000株/a(条間30cm、株間15cm)より密植の3000株/a(条間30cm、株間10cm)で、また慣行施肥(N2.4、P2O53.3、K2O3.4kg/a)より多肥(慣行の30%増)で収量は向上した。

(3)1年掘りの収穫球の大きさ(表3)

 ア.ウイルスフリー種球を用いると、分球数が多くなり、収穫球はやや小粒となった。

 イ.収穫球は市場出荷規格のM~Sサイズで、流通上の問題はない。

 

[成果の活用面・留意点]

 福井県でのラッキョウの感染ウイルスであるニンニク潜在ウイルス(GLV)の再感染率は、暴露1~2年後はそれぞれ3%、5%と低く、4年後で34%、5年後で97%と高くなっていくため、種球は4年に1回更新する。

 

[具体的データ]

 

表1 ウイルスフリー球の生育

種球の

大きさ

(g)

1年後(平成元年7月5日)

 

2年後(平成2年7月5日)

1株球重

(g)

1球重

(g)

分球数

 

1株球重

(g)

1球重

(g)

分球数

罹病球

4.0~5.9

57.5

7.3

7.9

 

99.7

4.0

24.8

ウイルスフリー球

6.0~7.9

86.0

8.4

10.2

 

101.6

4.0

25.7

ウイルスフリー球

8.0~9.9

94.0

8.8

10.7

 

106.6

3.8

28.4

 

表2 1年掘りラッキョウの収量(kg/10a) (94年現地試験)

 

慣行施肥

 

多肥

慣行植え

密植

 

慣行植え

密植

罹病球

1,815(100)

2,137(118)

 

2,115(117)

2,431(134)

ウイルスフリー球

1,843(102)

2,403(132)

 

2,420(133)

2,625(145)

*( )は罹病球の慣行施肥、慣行植えを100とした場合の指数

 

表3 1年掘りラッキョウの分球数と1球重(94年現地試験)

 

慣行施肥

多肥

慣行植え

密植

慣行植え

密植

罹病球

21(8.6)

26(8.2)

24(8.8)

32(7.5)

ウイルスフリー球

24(7.7)

34(7.0)

30(8.0)

40(6.5)

*( )は1球重、単位:分球数は×1000球/a、1球重はg

 

 

[その他]

 研究課題名:ラッキョウのウイルスフリー苗の育成増殖

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成6年度(昭和60~平成6年)

 研究担当者:野村幸雄、真柄紘一

 発表論文等:なし

 

マメ科植物のサンヘンプを緑肥に用いた夏播きブロッコリーの減化学肥料栽培

[要約] 夏播きブロッコリー栽培の前作にサンヘンプを栽培し、発酵鶏ふんと一緒にすき込んで化学肥料を追肥することにより、慣行の化学肥料だけの栽培と同等かそれ以上の収量・品質が得られる。この栽培法はN成分の約70%を有機物で代替できる。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・野菜研究チーム

         生産環境部   土壌環境研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

葉茎菜類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

 野菜栽培は化学肥料の多量投入に依存している部分が多く、環境に与える負荷が大きいことから、化学肥料の使用量を消滅した技術の開発が望まれている。そこで地域内で入手できる有機物を化学肥料の代替として、有効に活用する技術が必要と考えられ、夏播きブロッコリー栽培において、マメ科植物のCrotalaria juncea(サンヘンプ)を前作に栽培して、サンヘンプのすき込みと発酵ケイフンを併用した減化学肥料の施肥法を明らかにした。

 

[成果の内容・特徴]

(1)サンヘンプの播種は、5月下旬に無肥料で種子量1kg/aを条間約17cmで条播し、7月下旬から8月上旬にすき込む。すき込み時期のサンヘンプの生育ステージは3年間とも開花盛期で、気象の年次変化の影響は少ない(表1)。

(2)サンヘンプの生体重は3ヵ年平均で433kg/aが得られ、窒素成分は乾物重の約1.7%であることから、1.5~1.8kg/aの窒素量が得られる(表1)。

(3)サンヘンプのすき込みによる窒素量では、基肥として不足するため、化学肥料と類似した肥効を示す発酵鶏ふんで、慣行栽培の化学肥料窒素施用量の3.5kg/aと同等となるように補い、さらに化学肥料で追肥として1.0kg/aを施用すると、慣行栽培より窒素吸収量が20%増加し、花蕾重は250g以上で優れ、上物収量も100kg/a以上が得られるとともに、慣行栽培の化学肥料窒素施用量を有機物で約70%代替できる(表2)。

(4)サンヘンプの部位別窒素無機化特性は、葉部は緩効性肥料のように緩やかに無機化するが、茎は分解するために窒素が取り込まれ負の値を示す(図1)。

(5)サンヘンプと発酵鶏ふんを基肥に施用した跡地土壌では、化学肥料より全炭素、全窒素等が増加し、土壌の肥沃度が増加する(図3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)夏播きハクサイ等の葉茎菜類も、サンヘンプを緑肥として栽培が可能である。

(2)サンヘンプは低温伸長性に欠けるので、春作の野菜収穫が終わった後の、平均気温17℃以上になる5月中・下旬に播種することが必要である

(3)すき込みは、ロータリー耕では地表面にサンヘンプの植物体が露出して、肥効が劣ることがあるので、プラウ等で全量が土中に埋没するように作業する。

 

[具体的データ]

 

表1 サンヘンプのすき込み時の生育量と無機成分組成

試験年次

草丈

(cm)

株立数

(㎡)

生体重

(kg/a)

乾物重

(kg/a)

乾物率

(%)

無機成分組織(%)

地表面露出量

(kg/a)

N

P2O5

K2O

1993年

128

406

420

86

20

1.74

0.49

4.26

-

1994年

176

150

491

109

22

1.64

0.40

2.59

-

1995年

134

190

389

83

21

1.80

0.61

3.35

38

平均

146

248

433

93

21

1.73

0.50

3.40

38

播種法:1993年は散播、1994年と1995年は条間17cmの条播。播種量は1kg/a。

播種期:1993年5月28日、1994年5月21日、1995年5月26日。

調査日(すき込み時期):1993年7月30日、1994年8月8日、1995年8月4日。

 

表2 ブロッコリーの窒素吸収量と収量・品質

有機物の種類

追肥の

有無

試験年次

N施肥量

(kg/a)

乾物重

(g/株)

N吸収量

(g/株)

花蕾重

(g)

花蕾径

(mm)

上物収量

(kg/a)

サンヘンプ

+発酵鶏ふん

無

1993年

5.9

80

2.70

153

86

43

1994年

3.5

48

1.22

117

86

47

1995年

3.5

95

2.07

196

92

73

平均

-

74

2.00

154

88

54

有

1994年

4.5

93

2.95

254

128

102

化学肥料(標準)

無

1993年

3.5

67

1.99

153

72

34

1994年

3.5

48

1.36

102

84

41

1995年

3.5

106

3.46

271

95

100

平均

-

74

2.27

175

84

58

有

1994年

4.5

72

2.43

199

120

80

サンヘンプは、ブロッコリーの前作に緑肥として栽培し全量すき込み。

発酵鶏ふんの施用量は、サンヘンプの窒素量で不足する量を、発酵鶏ふんの推定無機化率で算出して施用した。

作付体系等:サンヘンプ-夏播きブロッコリーの1年2作。品種は「ハイツ」。花蕾は花蕾頂部から15cmで調製。

ブロッコリーの播種期-定植期-調査(収穫)日:1993年7月28日-8月13日-10月20日。

                                                                            1994年7月21日-8月12日-10月13日。

                                                                            1995年7月26日-8月18日-10月26日。

[その他]

 研究課題名:北陸地域における生態系を活用した野菜の持続的安定生産技術の確立

 予算区分 :国補(地域重要)

 研究期間 :平成7年度(平成5~7年)

 研究担当者:三谷和弘、伊森博志、勝田英郎、坂東義仁、奥田俊夫、松山松夫

 発表論文等:なし

 

半自動移植機に適応するキャベツ苗の大きさと育苗期間

[要約]夏まき年内穫りキャベツ(YR泰山)の半自動移植機用苗の大きさと育苗期間を明らかにした。機械移植に適する苗の大きさは、草丈6~9cm、葉令2~3.0葉の範囲であり、育苗期間は播種期が8月上旬では播種後16~23日、また、8月中~下旬では播種後13~17日と認められた。

福井県農業試験場 園芸・バイテク部 野菜研究チーム

        作物・経営部 作業システム研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

営農・作業技術

野菜・花き

専門

作業

対象

キャベツ

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 人力に頼っていたキャベツの移植作業に、半自動移植機が開発され、省力化・軽作業化への期待が大きくなっている。この半自動移植機の利用に際して、苗の良否が作業精度を左右する重要な条件になるので、適する苗の大きさと育苗日数を明らかにした。

 

[成果の内容・特徴]

(1)苗の大きさの範囲

 大きさを揃えた苗のみをセル成型トレーにセットし、根付け部を標準調整したK社製半自動移植機で定植したところ、草丈6~9cm、葉令2~3.0葉までの苗は欠株(完全欠株、埋没株、転び株)が3%以下と少なく、茎葉の損傷株も僅かで、精度の高い作業ができる。

 草丈6cm以下の苗では根張りが不十分で、根鉢が崩れ易く、苗セットが困難になり、また、10cm以上の苗では、根付け部の再調整を行っても、供給部や開孔部での苗詰まりによる連続欠株や機械的損傷株が発生し、作業精度が低下する。(図1)

 

(2)苗の育苗日数

 機械移植に適する苗(草丈6~9cm)の育苗期間は、播種期が8月上旬で播種後16~23日の8日間で、気温が低下する8月中~下旬では、播種後13~17日の5日間が移植適期となる。

 播種期により育苗日数は2群に分けることができる。(図2)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)夏まき年内穫りキャベツの定植予定日から逆算した播種日決定に利用できる。

(2)育苗には雨よけハウス内で128穴セル成型トレーを用い、ピートモス(20%程度)、バーミュキュライト(30%程度)を配合した専用培土を使用する。

(3)ポット型半自動移植機に適応する。

 

[具体的データ]

 

 

[その他]

 研究課題名:水田園芸機械化推進事業

 予算区分 :国補(水田園芸機械)

 研究期間 :平成6年度(平成5~7年)

 研究担当者:勝田英郎、鹿子嶋力

 発表論文等:なし

 

一寸ソラマメの播種期の前進化と苗床摘芯による生育・開花促進技術

[要約]一寸ソラマメの生育量と早期開花の確保に播種期の前進化と苗床摘芯が有効である。

福井県農業試験場・ 野菜研究チーム

契機

研

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

果菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 地域特産野菜として一寸ソラマエが導入されている。しかし、中山間地域では冬期の生育量が小さく、早期の開花数も少ないことから着莢の節数も少なく、低収となっている。このため、対策技術として播種時期の前進化と摘芯による生育と早期開花の促進について検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)生育時期の早い分枝ほど開花が早く、節間も短く生育も旺盛となる(表1)。

(2)播種を慣行より2週間程度早くすることで分枝の早期発生と伸長が図れ、開花量の増加を促進出来る(表2)(表3)。

(3)摘芯を4葉残し行うことにより播種期の前進化による過剰生育を抑制し、充実した分枝の発生が図れる(表2)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)生育遅延地帯における生育量の確保と早期開花量の増加に活用できる。

(2)育苗は慣行より長くなるのでポットは12cm程度の大きさとする。

(3)大苗となるので保水性のある培土を用い、適宜液肥等を施用する。

(4)秋冬期の気温等、地域の気象条件を考慮して利用する。

 

[具体的データ]

表1 茎発生時期と生育.開花

茎発生期

分枝長(cm/茎)

 

平均節間長(cm)

 

開花茎率(%)

2/25

3/22

4/6

 

2/25

3/22

4/6

 

3/26

4/6

12/下まで

10.6

16.3

29.6

 

1.7

1.9

2.6

 

12.5

97.8

1/上~1/下

7.2

15.6

27.7

 

1.7

2.0

3.0

 

0

73.7

2/上~3/下

4.6

8.9

22.2

 

1.7

2.3

3.6

 

0

3.2

※各茎発生期内で5cm以上となった茎を調査

 

表2 播種時期・摘芯と時期別分枝本数

分枝本数

 

1/10

 

1/31

 

3/23

 

1~

5cm

5.1~

10cm

10.1

cm以上

計

 

1~

5cm

5.1~

10cm

10.1

cm以上

計

 

1~

5cm

5.1~

10cm

10.1

cm以上

計

10/1播2葉摘芯

4.2

1.2

5.3

10.7

 

2.1

1.6

3.5

7.2

 

2.3

3.7

12.6

18.6

10/1播4葉摘芯

5.5

1.9

6.2

13.6

 

2.6

2.5

3.5

8.6

 

1.3

2.4

13.3

17.0

10/15播2葉摘芯

3.3

3.0

2.7

9.0

 

1.9

1.7

2.4

6.0

 

2.0

4.1

9.3

15.4

10/15播4葉摘芯

4.6

2.7

2.8

10.1

 

3.2

1.9

2.3

7.4

 

1.2

3.1

10.1

14.4

10/15播無摘芯

3.8

3.0

1.8

8.6

 

2.5

1.6

1.9

6.0

 

1.6

2.6

10.2

14.4

                               

※11月4日定植

 

表3 播種時期・摘芯と開花

 

開花始日

(月日)

開花始節

(節)

開花茎率

(%)

開花節数

(節/茎)

総開花節数

(節/株)

10/1播2葉摘芯

4/1

8.9

76.3

1.6

9.8

10/1播4葉摘芯

3/31

8.6

80.0

1.9

12.2

10/15播2葉摘芯

4/3

8.6

57.5

1.2

5.5

10/15播4葉摘芯

4/2

7.7

57.5

1.6

7.4

10/15播無摘芯

4/2

7.9

58.8

1.4

6.6

※各数値は開花茎の平均値、開花茎率は分枝8本中の率、4/5調査

 

 

[その他]

 研究課題名:分枝茎の発生時期と生育開花育苗日数・摘芯と定植後の生育

 予算区分 :県経常

 研究期間 :平成6年(平成5年~6年)

 研究担当者:田中 肇、佐藤信仁

 発表論文等:なし

 

真空播種機によるダイコンの播種粒数と生育・収量・収益

[要約]真空播種機を利用したダイコンの播種では、1か所当たり2粒播きが単収が高く、間引き時間も軽減でき、1、3粒播きより有利であった。

福井県園芸試験場・営農環境研究チーム

契機

研

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

根菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 ダイコン栽培では真空播種機による播種が普及しており、通常1か所当たり数粒が播かれている。播種粒数が多ければ種子代がかさみ、間引きに多くの時間を要し、逆に播種粒数が少なければ欠株が多くなる。そこで、播種後の生育、収量、収益を考慮に入れた、真空播種機による1か所当たりの最適播種量を求め、真空播種機を利用した栽培体系確立のための資料とする。

 

[成果の内容・特徴]

(1)ダイコンの真空播種機による1粒播きでは、欠株率は11.6%で、2、3粒播種に比べ約10%高かった。また1粒播きの平均出芽率は88.4%2、3粒播きより高く、連続して欠株になることはほとんどなかった(第2表)。

(2)2、3粒播きでは、間引きにそれぞれ10a当たり推定5.8、15.6時間を要した(第3表)。

(3)1粒播きは2、3粒播きに比較して初期生育が良く、この傾向は収穫期まで持続し、収穫時の1粒播きでの根長、根重は3粒播きに比べてそれぞれ+4%、+6%となった。収穫時の根長、根重のばらつきは2粒播きが最も少なかった(第4表)。

(4)収入金額から間引きに要する労賃や種子代を差し引くと、2粒播きが最も収益が高く、1、3粒播きの約10%増となり、最も有利であった(第5表)。1、3粒播きはほぼ同額であった。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)ダイコン栽培で間引き時間の軽減、種子の節約、多収が図れる。

(2)播種時に粒剤を施用し害虫の予防を図る。

 

[具体的データ]

第1表 試験条件                第2表 真空播種機による1カ所当たりの播種粒数と出芽率a)

作型

秋まき

 

項目

1粒播き

2粒播き

3粒播き

品種

新耐病総太

 

播種ヵ所数

219.5

218.0

217.0

 

り

 

 欠株ヵ所数(同率%)

25.5(11.6)

3.5(1.6)

4.0(1.8)

栽埴

畦巾1.5m

 

 1粒出芽ヵ所数(同率%)

194.0(88.4)

56.5(25.9)

25.5(11.8)

密度

株間31.2cm

 

 2粒出芽ヵ所数(同率%)

―

158.0(72.5)

104.5(48.2)

 

2条植え

 

 3粒出芽ヵ所数(同率%)

―

―

83.0(38.2)

 

218株/51.0㎡

 

 平均出芽率b) (%)

88.4

85.5

74.3

施肥

県耕種基準

 

2株連続欠株ヵ所数

0.5

0

0

砕土

96.9%

 

3株連続欠株ヵ所数

0

0

0

率

 

 

 

 

 

 

乗用管理機使用

 

a)1区51.0㎡、2連制。b)出芽数/推定播種粒数。

 

第3表 真空播種機による1ヵ所当たりの播種粒数と間引き時間a)

区

播種

ヵ所数

間引き

苗数

間引き時間

間引き労賃c)

(10a当たり)

区当たり

10a当たりb)

1粒播き

219.5

0本

0m:0s

0h

0円

2粒播き

218.0

154.5

12:20

5.8

5,800円

3粒播き

217.0

266.5

33:08

15.6

15,600円

a)9/8播種、9/22・10/3の2回に分けて間引き。b)6000本/10aとして計算。

c)1000円/時間として計算。

 

第4表      播種粒数と生育・収量

 

10/26(播種48日後)a)

11/27(播種75日後;収穫時)b)

播種粒数

葉長

草丈

茎数c) (同比)

葉長

草重

根数(同比)

根重(同比)

岐根率

1粒播き

41.1cm

49.0cm

5.4cm(106)

46.5cm

517.0g

43.1cm(104)

2.23kg(106)

2.5%

(標準偏差)

(3.5)

(5.1)

(0.5)

(3,1)

(77.1)

(4.0)

(0.37)

 

2粒播き

38.9

46.9

5.1(100)

49.0

515.0

42.1(101)

2.14(102)

0

(標準偏差)

(2.6)

(3.6)

(0.4)

(3.9)

(93.8)

(3.6)

(0.33)

 

3粒播き

39.2

45.3

5.1(100)

48.1

488.0

41.5(100)

2.10(100)

0

(標準偏差)

(2.3)

(3.4)

(0.4)

(2.6)

(84.3)

(4.0)

(0.36)

 

a)25株調査。b)20株調査。c)地際部。

 

第5表   10a当たりの収穫益

 

[その他]

研究課題名

水田園芸機械

化推進事業

予算区分

国庫1/2

研究期間

平成5~7年度

研究担当者

川久保幸雄

塩谷雅弘

松村光洋

研究論文等

なし

区

種子代a)

株数b)

収量c)

収入金額d)

収入金額-(種子

代+間引き労賃e)

 

1粒播き

3,300円

5304株

5632.8kg

563,280円

559,980円(99)

 

2粒播き

6,600

5904

6270.0

527,000

514,600

 

3粒播き

9,900

5892

5892.0

5,89200

563,700(100)

 

a)4950円/2d1(9000粒)、6000本/10aとして計算。b)6000本/10aとして第1

表の欠株率から算出 c)株数*根重(第4表の3粒播きを1kgに換算)

d)100円/kgとして計算 e)第3表から算出。

 

 

 

日本スイセン切り花の低温貯蔵

[要約]スイセン切り花の低音貯蔵は、2℃で1週間可能で、貯蔵中の包装は、切り花を黒ポリフィルムで包んでからスイセン出荷箱に入れる方法が良かった。

福井県園芸試験場・花き課

契機

研・普

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

花き類

分類

指導

[平成6年度 普及に移す技術]

 

 

[背景・ねらい]

日本スイセンの切り花は年末から早春の花として需要が伸びている。出荷期がちょうど冬季にあたり、露地

で切り花栽培が行なわれているため、開花時の悪天候による出荷不安定が問題になっている。そこで、降雪などにより出荷できない時のため、スイセン切り花の低温貯蔵と貯蔵期間を検討した。

 

 

 [成果の内容・特徴]

(1)低温貯蔵をしたスイセンの切り花は、無処理のスイセンより葉が早く黄化し、花が老化するまでに鑑賞価値がなくなる傾向にあった。

(2)切り花の貯蔵は2℃が適し、水揚げ後の品質に問題のない貯蔵期間は1週間であった(第1表)。

(3)貯蔵中の包装は、切り花を黒ポリフィルムで包んでからスイセン出荷箱に入れる方法がよかった。この方法は、貯蔵中の切花重の変化が少なく、貯蔵状態も良好であった。1~2週間貯蔵した切り花の開花速度は貯蔵しないときと同程度であったが、貯蔵期間が長いと、蕾が萎凋し、花弁の縮れた障害花の発生がやや多い傾向にあり、貯蔵期間は1週間以内が無難であった(第2表、第3表)。

(4)飽和吸水させた切り花用吸水シートを入れたアルミ蒸着袋(フラワーパック90)で切り花の切り口を覆ってスイセン出荷箱に詰め、2℃で貯蔵すると、2週間の貯蔵が可能であったが、処理の労力を考えると実用性は低かった(第1表)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)切り花の低温貯蔵は、何かの行事で、悪天候時にどうしても切り花を使用したいというような需要に応えるための技術であって、積極的に出荷調節に利用できる技術ではないので、実施にあたっては注意が必要である。

 

[具体的データ]

第1表 日本スイセン切り花の貯蔵温度と貯蔵方法が切り花の日持ちに及ぼす影響z

貯蔵

貯蔵y

出庫時切花重率x (%)

4日後切花重率w (%)

12日後開花数w

黄変日数w

温度

方法

1週

2週

3週

4週

1週

2週

3週

4週

1週

2週

3週

4週

1週

2週

3週

4週

2℃

乾式

97

91

90

89

98

96

91

90

2.3

2.5

1.9

1.7

28

9

10

9

-2℃

乾式

95

90

89

89

101

97

95

94

2.7

2.2

*v

*

28

14

*

*

2℃

湿式

97

102

103

100

96

100

97

95

3.4

2.5

2.5

1.7

22

20

10

8

-2℃

湿式

100

104

100

100

98

100

98

98

1.4

*

*

*

1.5

*

*

*

z1993年12月20日に1番花5分咲きで切り花、10℃で1日保存後貯蔵開始。

y乾式貯蔵:出荷箱に入れて貯蔵、湿式貯蔵:切り口を吸水シートで覆い出荷箱に入れて貯蔵。

x切花重率は貯蔵前の切花重を100とした。

w無処理区4日後切花重率100%、12日後開花数3.2花、黄変日数28日。

v*出庫後又は水揚げ後、蕾萎凋、障害花発生。

 

第2表 低温貯蔵時の包装方法と水揚げ後の切花重回復状況及び開花z

包装方法

出庫時切花重率y (%)

4日後切花重率x (%)

12日後開花数x

12日後障害花率xv (%)

1週

2週

3週

4週

1週

2週

3週

4週

1週

2週

3週

4週

1週

2週

3週

4週

スイセン出荷箱

92

88

85

82

100

97

95

89

2.5

2.2

3.6

*w

3

21

32

31

出荷箱(取手ふさぐ)

91

90

87

83

98

97

93

90

2.2

2.1

2.9

*

0

20

45

27

新聞紙包装+出荷箱

94

89

86

83

99

95

92

91

2.5

2.1

1.4

*

0

8

22

10

黒ポリ包装+出荷箱

100

101

100

100

104

104

119

102

2.5

2.3

3.0

1.8

6

29

48

28

z1994年1月28日に総包裂開直後で切り花、10℃で1日保存後貯蔵開始、2℃乾式貯蔵。

y切花重率は貯蔵前の切花重を100とした。

x無処理区4日後切花重率104%、12日後開花数2.1花、12日後障害花率4%。

w*花の老化甚だしいため調査せず。

v花弁が縮れ、褐変した花の発生率

 

第3表 低温貯蔵時の包装方法と水揚げ後の葉の黄変

包装方法

12日後葉黄変株数z

12日後黄変程度zy

1週

2週

3週

4週

1週

2週

3週

4週

スイセン出荷箱

8/10

5/10

9/10

10/10

1.5

1.3

2.9

2.9

出荷箱(取手ふさぐ)

9/10

5/9

10/10

10/10

1.8

0.9

3.3

2.5

新聞紙包装+出荷箱

7/11

9/10

5/7

9/11

1.2

1.3

1.3

1.5

黒ポリ包装+出荷箱

0/10

2/8

12/12

10/10

0

0.3

0.3

1.5

z無処理区12日後葉黄変株数0/8、12日後黄変程度0。

y黄変程度、0:なし、1:葉先黄味かかる、2:葉先1/3まで、3:1/3~2/3まで、

      4:2/3以上。

 

[その他]

 研究課題名:越前スイセンの切り花鮮度保持技術の開発

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成5~6年

 研究担当者:坂本 浩・永井輝行

 発表論文等:平成6年園芸学会北陸支部研究発表シンポジウム講演要旨

       ニホンズイセン切り花の低温貯蔵

 

ウメ樹に対するかんがい水及び土壌中の塩素の生育阻害濃度

[要約]干ばつ時におけるウメの幼木樹に対するかんがい水の塩素濃度としては、葉中の窒素濃度の低下を招かない0.4%以下とし、また、土壌中の塩素濃度が0.08%以上に高まらないようにする。

福井県園芸試験場・果樹研究チーム

契機

研

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

干ばつ防止には、かん水が最も有効な対策であることはいうまでもないが、渇水時になると、通常十分なかんがい水を確保することは困難である。

本県の三方湖周辺には約150haのウメ園が分布しているが、寡雨時には日本海から三方湖へ海水が流入するため、それらをかんがい水として使用した場合、濃度障害などによる生育への悪影響が懸念されている。そこで干ばつ時のかんがい水としてどの程度の濃度であれば生育上問題がないかを検討するために、数段階の濃度の塩水をウメ樹(3年生)に施用し土壌や生育への影響を調査した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)かんがい水として使用している三方湖の塩類濃度(EC)の年次変化をみると、干ばつ年であった1994年は過去3か年に比べ、7月20日頃から急激に高まり、8月20日には平年が1mS/cmであるのに対し、7mS/cmに達した。その後も9月末まで5mS/cm以上で経過し、平年よりも著しく高く推移した(図1)。

(2)塩水の施用による土壌中の塩素濃度は、施用する塩水濃度に応じて高まり、0.2%液や0.4%液では土壌中の塩素濃度は0.07%以下であるのに対し、1.0%液では0.1%前後、1.5%液になると無降雨状態では0.2~0.25%に達した。しかし、降雨後は各区とも急激に低下し、処理間で大きな差が無くなった(表1)。

(3)塩水を施用した樹は、河川水のかん水に比べ葉巻きや落葉がやや多かったが、処理濃度によって大きな差はみられなかった。しかし0.6%以上の高濃度液のかん水は、河川水及び0.2%液や0.4%液の低濃度液に比べ葉中窒素濃度をかなり低下させた(表2)。

(4)これらの結果から、ウメの幼木樹に対するかんがい水の塩素濃度としては、葉中の窒素濃度の低下を招かない0.4%(ECでは8mS/cm)(図2)が許容基準となり、1994年のような高濃度の湖沼の塩素濃度でも干ばつ時のかんがい水として利用が可能である。

 

[成果の活用・留意点]

(1)干ばつ時における湖沼からのかん水の可否に利用できる。

(2)無降雨時のかん水量は、2日おき1樹当たり約40ℓとする。

(3)土壌中の塩素濃度は降雨の有無により変化しやすいので、たえず土壌中の塩素濃度を測定し、0.08%以上に高まらないように注意する。

 

[具体的データ]

 

 

 第1表 塩水の施用による土壌中の塩素濃度及びECの変化

区

塩素(%)

 

EC(mS/cm)

8/24

8/29

8/31

9/2

9/5

9/7

 

8/24

8/29

8/31

9/2

9/5

9/7

無潅水

0.04

0.04

0.04

0.03

0.03

0.03

 

0.03

0.05

0.04

0.04

0.05

0.04

河川水

0.04

0.03

0.03

0.02

0.03

0.02

 

0.03

0.03

0.02

0.03

0.03

0.02

塩水0.2%

0.03

0.04

0.05

0.04

0.04

0.04

 

0.04

0.15

0.17

0.17

0.12

0.10

塩水0.4%

0.04

0.06

0.07

0.07

0.05

0.05

 

0.07

0.28

0.32

0.34

0.19

0.20

塩水0.6%

0.06

0.08

0.11

0.09

0.06

0.04

 

0.21

0.46

0.59

0.38

0.25

0.12

塩水1.0%

0.10

0.11

0.13

0.11

0.09

0.09

 

0.50

0.52

0.70

0.53

0.36

0.37

塩水1.5%

0.20

0.21

0.24

0.16

0.10

0.06

 

0.83

1.02

1.38

0.83

0.48

0.33

塩水施用日 8/22、8/25、8/29、8/31、9/2、9/5

各施用区の測定した塩水の塩素濃度 河川水:0.07%,塩水0.2%:0.22,塩水0.4%:0.34

                 塩水0.6%:0.64,塩水1.0%:0.74%,塩水1.5%:1.37%

降水日及び降水量 9/1:7mm,9/2:9mm,9/6:6mm,9/7:2mm

 

 

[その他]

 研究課題名:干ばつ時のかん水に伴うウメ樹の耐塩性

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成6年度

 研究担当者:渡辺 毅・山本 仁・中川文雄

 発表論文等:平成6年の干ばつによる農作物の被害と今後の対策

[平成7年度 普及に移す技術]

ウメのせん定程度が樹体栄養と花芽着生に及ぼす影響

[要約]ウメ「紅サシ」成木樹で花芽密度を高めるには、樹体の糖含量よりも窒素含量を高める必要があり、そのためのせん定程度しては、1樹当たりの総結果枝長を300~350mとする強~中せん定が有効である。

福井県園芸試験場・果樹研究チーム

契機

研

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

ウメの多収樹と低収樹の比較から多収樹では一般的に葉内窒素含量が高く、近年ウメの栄養診断に葉分析が用いられるようになってきた。しかし、せん定などの樹体管理方法との関係は未解明であり、1樹当たりの総結果枝長をもとにせん定程度を極強、強、中、弱せん定に分け、無せん定樹も含め、せん定程度が樹体栄養と花芽着生に及ぼす影響を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)葉の窒素含量は強~中程度のせん定樹で高く、無せん定樹や弱せん定樹および極強せん定樹では7月、10月とも低い傾向であった(図1)。

(2)葉のスクロース、グルコース、フラクトース、ソルビットなどの溶性糖含量は無せん定樹や弱せん定樹で高く、中~極強せん定樹で低い傾向であった(図2)。

(3)短果枝の花芽着生密度は無せん定樹や弱せん定樹で低く、極強~中程度のせん定樹で高まる傾向であった(表1)。

(4)花芽着生密度と葉の窒素含量は正の相関が高い傾向であり、相関係数は7月が10月よりも高く、可溶性糖含量とは負の相関が高い傾向であった(表2)。

(5)以上の結果から、ウメの成木で花芽を多く確保するには、樹体の窒素含量を高める必要があり、そのためのせん定程度としては1樹当たりの総結果枝長が300~350mを目安とする強~中程度のせん定が有効と考えられる。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)枝梢管理方法と樹体栄養の関係が明らかになり、花芽着生促進の研究に有効である。

(2)本試験の供試樹は植栽距離8×8m、1968年定植の‘紅サシ’で、樹勢はやや弱い品種である。

(3)分析用の葉は10cm程度の新梢から採取した。

 

[具体的データ]

 

 

表1 せん定程度と花芽密度        表2 花芽密度と葉内成分の相関

年次

短果枝の花芽密度(個/cm)

 

年次

窒素含量

可溶成糖含量

極強

強

中

弱

無せん定

 

7月

10月

7月

10月

91年

1.89

1.81

1.93

1.57

-

 

91年

-

0.69

-

‐0.52

92年

1.83

1.77

1.78

1.53

0.73

 

92年

0.92*

0.68

‐0.79

‐0.62

93年

1.39

1.34

1.57

1.32

1.01

 

93年

0.79

0.71

‐0.75

‐0.61

94年

1.39

1.45

1.31

1.25

0.82

 

94年

0.99**

0.75

‐0.93*

‐0.62

 

[その他]

 研究課題名:ウメの需要増大にともなう安定供給のための着果管理・省力技術の開発

 予算区分 :国補(地域重要新技術)、県単

 研究期間 :平成3年~6年度

 研究担当者:山本 仁、中川文雄、渡辺 毅

 発表論文等:なし

 

代かき前の気象要素による水田土壌窒素無機化量の予測

[要約]水稲の生育に大きな影響を及ぼす代かき前土壌(生土)の窒素無機化量は春先および前年秋の気象と相関が高く、気象から当年の土壌窒素無機化量を予測し、施肥量判定の参考にすることが可能である。

福井県農業試験場・生産環境部・地力保全研究チーム

契機

研

部会名

生産環境

専門

土壌

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

土壌から発現する地力窒素(以下、土壌窒素)量は水稲の生育に大きな影響を及ぼすが、水稲栽培期間中の無機化量を作付前に知ることは容易ではない。そこで、同一耕種条件で、長期間水稲を栽培しているほ場の土壌窒素無機化量と気象との関係を解析し、無機化量を予測する手法を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)細粒強グライ土では、代かき前に採取した生土の窒素無機化量(30℃で4週間および10週間培養、湛水保温静置法)が、年次により変動(4週値:CV=21.3%、10週値:CV=19.6%)した(図1)。

(2)4週間培養後の無機化量(以下、4週値)と気象との関係をみたところ、春先の気象との相関が高く(表1、2)、有意な重回帰式Y=7.75*10-3*SR34-8.64*10-3*RA34+1.45(R20.546、SR34:3月21日から4月20日の日射量、RA34:3月21日から4月20日の雨量)を得た。このことから、春先に「雨が少なくて晴れた日」が多ければ、当年の4週値が多くなると推定される。

(3)10週間培養後の無機化量(以下、10週値)と気象との関係をみたところ、春先および前年秋の気象との相関が高く(表1、2)有意な重回帰式Y=-8.84*10-3*RA910-2.02*10-2*RA34+13.85(R2=0.608、RA900:前年9~10月の雨量)を得た。

(4)10週値から4週値を差し引いた値(以下、4~10週値)と気象との関係をみたところ、前年秋の雨量との相関が高く(表1、2)、有意な回帰式Y=-6.28*10-3*RA910+6.68(R2=0.514)を得た。このことから、前年秋(9~10月)に「雨が少ない日」が多ければ、当年の4~10週値が多くなると推定される。

(5)得られた回帰式を用いて1984年から1993年までの4週値および10週値を予測したところ、かなり精度がよかった(図1)。

(6)以上、当県の気象条件では4週値は中生水稲の幼穂形成期頃までに、4~10週値は生育後半に土壌から無機化する窒素量に相当する。したがって、春先の気象は基肥の、前年秋の気象は穂肥の施用量判定のための参考資料として利用できる。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)細粒強グライ土において、中生水稲(コシヒカリ等)の移植栽培に適用できる。

 

[具体的データ]

 

表1 1984~1993年の気象要素の平均値、標準偏差、変動係数

 

前年9~10月の気象

前年11~12月の気象

3月21日~4月20日の気象

平均

気温

(℃)

日照

時間

(hr.)

日射

量

(MJ/㎡)

雨量

 

(mm)

平均

気温

(℃)

日照

時間

(hr.)

日射

量

(MJ/㎡)

雨量

 

(mm)

平均

気温

(℃)

日照

時間

(hr.)

日射

量

(MJ/㎡)

雨量

 

(mm)

平均

標準偏差

変動係数(%

19.3

286

690

359

8.3

204

386

463

10.1

159

420

134

0.53

29.1

49.1

-

0.96

37.3

38.3

-

0.94

28.1

53.0

-

2.7

10.2

7.1

-

11.6

18.3

9.9

-

9.3

17.7

12.6

-

 

表2 1984~1993年の気象要素と土壌窒素無機化量の相関係数

 

前年9~10月の気象

前年11~12月の気象

3月21日~4月20日の気象

平均

気温

日照

時間

日射

量

雨量

 

平均

気温

日照

時間

日射

量

雨量

 

平均

気温

日照

時間

日射

量

雨量

 

4週値

-0.009

0.128

0.391

-0.117

-0.128

-0.591

-0.400

-0.039

-0.517

0.502

0.622

-0.512

10週値

0.130

0.182

ー0.657*

-0.655*

0.144

-0.105

-0.010

-0.227

-0.198

0.427

0.506

-0.119

4~10

週値

0.160

0.143

0.475

-0.717*

0.243

0.218

0.220

-0.249

0.063

0.230

0.244

0.155

                                  *5%の危険率で有無

 

 

[その他]

 研究課題名:土壌環境基礎調査(基準点一般調査)

 予算区分 :国庫(土壌保全)

 研究期間 :平成5~6年(昭和59~)

 研究担当者:平井滈一、伊森博志、中島健一

 発表論文等:土壌窒素無機化量の年次変動と水稲生育、日本土壌肥料学会中部支部第70回例会、1993

[平成7年度普及に移す技術]

リゾプス属菌によるトマト収穫果の腐敗と対応技術

[要約]トマト収穫後にリゾプス属菌による市場病害が発生した。果実への有傷接種でのみ病微が再現されることなどから、機械的損傷をなくし、低温に保つことで本病を防ぐことが可能である。

福井県農業試験場・生産環境部・病理研究チーム

契機

普

部会名

生産環境、野菜・花き

専門

作物病害

対象

果菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

近年、青果物の長距離輸送や長期におよぶ貯蔵が行われ、市場病害に対する関心が高まっている。

1991年6月、県内の市場でトマト収穫果の腐敗が発生した。腐敗果の発生は品質を低下させるだけでなく、産地のイメージを悪くすることから問題となった。そこで、発生した腐敗果の原因を解明し、防除対策を明らかにする。

 

[成果の内容・特徴]

(1)腐敗果の症状は、トマト果頂部の菌の侵入部から果皮が裂け、病斑部は水浸状を呈し急速に軟化腐敗する。果皮は腐敗せず、果実表面は白色の菌糸で覆われ、その上に黒粉状の胞子のうを形成するものである(図1)。

(2)病斑部からはリゾプス属菌のみが分離される。本菌は、ほふく枝から仮根と胞子のう柄を形成し、先端に暗褐色球形の胞子のうを形成する。胞子のう胞子は暗褐色で表面に線状模様が認められる角張った楕円形~楕円形である。

(3)PDA培地で培養した本菌菌叢を果実表面に有傷で接種すると高率で発病するが、果梗切り口への接種では発病が少ない(表1)。

(4)本菌の胞子はトマト果汁中に比べ蒸留水中で発芽率が低く、15℃以下では胞子発芽、菌糸成育は低下する(図2)。

(5)接種後、低温で管理すると発病程度が低く、5℃では96時間後でも発病しない(表2)ことから、機械的損傷を少なくし、5℃に保つことで本病の防除は可能と考えられる。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)完熟果は機械的損傷を受け易いため、収穫、選果および輸送にはより注意が必要である。

(2)低温に保つことは胞子発芽や病斑形成に効果的であり、5℃では発病しないが、常温にすると急速に腐敗するので注意する。

 

[具体的データ]

 

 

 

              表1トマトへの接種方法と発病との関係

接種方法

腐敗果数/供試果数

胞子懸濁液を果梗切り口に接種

1/13

菌叢ディスクを果梗切り口に接種

1/13

菌叢ディスクを果実表面に無傷接種

0/13

菌叢ディスクを果実表面に有傷接種

13/13

無接種

0/13

 

表2 接種後の温度と発病との関係

 

温度

発病程度

24時間後

48時間後

96時間後

25℃

++

+++

+++

20

++

+++

+++

15

+

++

+++

10

+

+

++

5

-

-

-

注)菌叢ディスクを果実表面に有傷接種。

-:腐敗せず、+:病斑直径15mm以下、

++:15~50mm、+++:51mm以上

 

 

[その他]

 研究課題名:リゾプス属菌によるトマト収穫果の腐敗に関する研究

 予算区分 :県経常

 研究期間 :平成6年度(平成3~6年)

 研究担当者:本多範行、江端真智恵、川久保幸雄

 発表論文等:リゾプス属菌によるトマト収穫果の腐敗、北陸病害虫研究会報、

       第42巻、1994年。

 

酵素処理によるオカラ食物繊維の食品素材化と食パンへの利用

[要約]オカラを希アルカリー酵素の二段階で処理することによって、吸収量、膨潤量の優れたオカラ食物繊維素材が得られた。さらにこれを粉砕後粒度別に分別し、粒度の細かいものを使用したところ品質の良い食パンが得られた。

福井県農業試験場・食品加工研究所

連絡先

0776-61-3539

部会名

食品

専門

利用加工

対象

豆類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

豆腐製造時に生ずるオカラは、水分が多く、タンパク質など栄養成分に富むため、腐敗しやすいが、食物繊維が多いという成分的な利点を有している。そこで、オカラの食物繊維を食品素材として利用するため、酵素処理などによるタンパク質の低減化方法を検討し、得られた素材の物理的性質を明らかにした。さらにこれを用いて、食パンへの利用も検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)乾燥したオカラからタンパク質を抽出除去する方法として、100℃に加熱した水、NaCl(2.4M)溶液および希Na0H(0.025M)溶液を比較したところ、希NaOH溶液で最も効果が高く、含量タンパク質の53%が抽出除去された(図1)。

(2)(1)の希NaOH溶液で処理したオカラ中のタンパク質をさらに抽出除去するため、酵素の影響を明らかにした。10種類の起源の異なるタンパク分解酵素のうち、Bacillus由来のアルカリプロテアーゼ(№4、№6)が最も分解活性が高かった(表1)。

(3)オカラに希NaOH溶液を作物させたのち、引き続き酵素(№6)を作用させ、中和、水洗する(図2)ことによって、明らかにオカラ中のタンパク質が減少し、食物繊維が増加した。また吸収量、膨潤量も明らかに増大した(表2)。

(4)オカラを5%添加した食パンでは、希NaOH-酵素の二段階処理のものがパンの色、香りの点で良好であった。さらにこれを粉砕し、粒度を細かくするとパンの膨らみが優れた(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)生オカラの実用的、能率的な乾燥機の開発が必要である。

(2)酵素処理オカラは吸湿しやすいので、冷暗所に密封して保存する必要がある。

 

[具体的データ]

表1起源の異なるタンパク分解酵素が

オカラタンパク質の分解に及ぼす影響

 

起源

オカラタンパク質分解活性

(u/mg)

1

Rhizopus niveus

0.53

2

Asp.oryzae(アマノM)

0.52

3

AsP.oryzae(アマノA)

0.76

4

Bacillus subtilts a)

2.33

5

AsP.melleus

0.40

6

Bacillus sp.b)

2.53

7

Animal Pancreas

0.34

8

Carica papaya

0.37

9

Pineapple cannery

0.55

10

AsP.niger

0.97

a) (株) 天野製薬.プロテアーゼN「アマノ」

b) (株) 天野製薬.プロレザー       

 

 

 
 

 

 

表2 オカラ食物繊維素材の性質(乾物1g当たり)

食物繊維素材

粉砕

処理d)

食物繊維

(%)

タンパク質

(%)

吸水量

(g)

膨潤量

(ml)

無処理

無

46.0

26.9

6.8

10.4

希アルカリ(100℃)処理

無

69.9

12.6

8.8

18.5

希アルカリー酵素処理a)

無

74.3

9.2

13.2

22.3

 

1.0mm

71.2

9.2

7.8

10.1

 

0.5mm

71.5

9.3

4.9

9.9

 

0.1mm

70.3

9.3

4.1

9.5

もみ殻由来b)

 

79.3

0.3

5.4

7.2

小麦ふすま由来c)

 

31.6

12.5

3.1

4.1

a)希アルカリ処理後、Bacillus由来アルカリプロテアーゼで処理したもの

オカラ量:2.0(w/v)、温度:60℃、pH:10.0、酵素量:23.5μg/オカラ1g

b) (株) シーイーシー製セミロース                

 c) (株) 日清製粉製ウイートブラン                

d) 粉砕し、1.0、0.5、0.1mmのスクリーンを通した。       

 

表3 オカラ食物繊維素材の食パンへの利用

食物繊維素材

粉砕

処理

パンの高さ

(cm)

官能評価a)

膨らみ

すだち

色

香り

食味

無処理

無

6.2

○

○

×

×

×

希アルカリ(100℃)処理

無

5.5

△

×

△

△

△

希アルカリ-酵素処理

無

5.0

×

×

○

○

△

 

1.0mm

6.4

○

△

○

◎

○

 

0.5mm

6.6

○

○

◎

◎

◎

 

0.1mm

8.2

◎

○

◎

◎

◎

対照(オカラ無)

 

8.4

◎

◎

◎

◎

◎

a)◎:非常によい、○:良い、△:やや悪い、×:悪い    

 

[その他]

 研究課題名:新しい食品素材開発のための酵素利用技術の開発

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成6年度(平成2~6年)

 研究担当者:田中ゆかり、杉本雅俊、藤田義人、佐藤有一

 発表論文等:なし

 

ウシの過剰排卵処置後の子宮再灌流による胚の回収

[要約]過剰排卵処置後、より多くの胚を回収する目的で左右子宮角を各々灌流した後に両子宮角を同時に子宮体部で再灌流する方法と、同一供胚牛に2日間連続で子宮角を灌流する2つの方法について検討した。いずれの方法も取り残したと思われる胚を回収でき、回収胚数増加のための有効な手段となる。

福井県畜産試験場・酪農肉牛課

連絡先

0776-81-3130

部会名

畜産

専門

繁殖

対象

家畜類

分類

研究

 

[背景・ねらい]

過剰排卵処置した供胚牛から排卵・受精された胚をすべて回収することは難しい。特に付加価値の高い高能力牛からの胚の回収においては、できるだけ多くの胚を回収することが望まれる。今回、胚回収数の増加の試みとして、従来から実施されている左右子宮角を各々灌流する方法に加えて両子宮角を同時に子宮体部で灌流する方法(実験1)と、従来法による子宮角灌流を同一供胚牛に2日間連続して実施する方法(実験2)の2との方法について検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)通常実施されている灌流法により1頭平均9.5~9.9個の胚が回収され、その内移植可能胚は平均6.5~6.6個であった(表1、2)。

(2)子宮体部の再灌流により30頭のうち8頭(27%)から12個(平均1.5個)の胚が回収でき、その内7個が移植可能胚であった。

(3)同一供胚牛の2日間連続採卵により22頭のうち9頭(41%)から13個(平均1.4個)の胚を回収し、その内9個が移植可能胚であった。

(4)再灌流により回収した胚の移植可能胚の割合は、従来から実施されている左右子宮角灌流法と同程度であり、高能力牛から胚を回収する場合には有効な方法である。

 

[成果の活用面・留意点]

付加価値の高い供胚牛からの胚回収の場合には有効な手段となる。バルーンカテーテルを子宮角から子宮体部に移動する際は、空気を徐々に(1mℓずつ)抜きながら行う。

 

[具体的データ]

 

表1 子宮体部灌流(再灌流)の採卵成績

灌流方法

胚回収頭数

回収胚数(A)

移植可能胚数(B)

B/A

子宮角のみ

30

297(9.9)

195(6.5)

65.7%

子宮体部

8

12(1.5)

7(0.9)

58.3%

( )内は1頭あたり

 

 

表2 2日間連続採卵成績

採卵日

胚回収頭数

回収胚数(A)

移植可能胚数(B)

B/A

7日目

22

208(9.5)

146(6.6)

70.2%

8日目

9

13(1.4)

9(0.7)

69.2%

               ( )内は1頭あたり

 

 

[その他]

 研究課題名:黒毛和種供胚牛の効率的利用技術に関する研究

 

 予算区分 :県単

 

 研究期間 :平成6年度(平成3~7年)

 

 研究担当者:松井 司、前田淳一、吉野則夫

 

 発表論文等:牛過剰排卵処置後の回収胚数増加のための試み-子宮角体部同時灌流と2日間連続灌流による取り残し胚の回収-、平成6年度日本産業動物獣医学会中部、1994.

ウシ過剰排卵処置後の非外科的採卵法の検討-子宮角・体部灌流、2日連続採卵-、東日本家畜受精卵移植技術研究会報、10号、1994.

 

ウシの過剰排卵処置によって得られたDランク胚の発育能

[要約]Dランク胚をウシ顆粒膜細胞と共培養したところ、胚盤胞にまで発育するものがみられた。発育した胚を凍結保存しダイレクト移植を行ったところ受胎例が得られた。このことからDランクと判定された胚であっても受胎能力を有しているものがあることが明らかとなった。

福井県畜産試験場・酪農肉牛課

連絡先

0776-81-3130

部会名

畜産

専門

繁殖

対象

家畜類

分類

研究

 

[背景・ねらい]

ウシの過剰排卵処置によって得られる胚は、一般的に胚の発育ステージや変性細胞の占める割合などの形態的な評価によって、Aランク:優良卵(優)、Bランク:普通卵(良)、Cランク:やや不良卵(可)、Dランク:不良卵(不可)の4ランクに分けられている。通常Dランク(通常の発育より2段階以上遅いもの、または50%以上の変性細胞のみられるもの)と判定された胚は移植されることなく廃虚される。今回、Dランクと判定した胚を顆粒膜細胞と共培養し、胚の発育能力について検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)7細胞期以下の胚は24個のうち2個(8%)が胚盤胞に発育したのみであったが、8細胞期以上の胚は20個のうち17個(85%)が胚盤胞に発育した(表1)。

(2)ダイレクト移植により胚盤胞にまで発育した胚を10頭に移植し、3頭(30%)が受胎した(表2)。

(3)Dランクと判定した胚であっても、顆粒膜細胞との共培養により胚盤胞にまで発育し、ダイレクト移植によって受胎できるものがある。

 

[成果の活用面・留意点]

Dランク胚を有効に活用することができる。共培養により胚の生存性(発育)を確認する必要がある。

 

[具体的データ]

 

表1 体外培養成績

培養前の発育

ステージ

 

供試胚数

発育

胚盤胞数

凍結可能

胚数

1ce11

11

0

 

2-4ce11

5

0

 

5-7ce11

8

2

2

8-16ce11

7

5

3

桑実胚

1

0

 

後期桑実胚

6

6

6

変性胚

6

6

6

計

44

19(43%)

15(34%)

体外培養:Medium199+1%子牛血清+顆粒膜細胞、50μℓ、

38.5℃、3.5%CO2 、96.5%空気、

( )内は供試胚数に対する割合を示す

 

 

表2 胚盤胞までの発育時間ならびに移植成績

培養前の発育

ステージ

発育

胚盤胞数

胚盤胞に発育するまでの時間

移植

頭数

受胎

頭数

24h

48h

72h

96h

120h

144h

5-7ce11

2

 

 

1

 

 

1

1

0

8-16ce11

5

 

2

3

 

 

 

3

1

後期桑実胚

6

6

 

 

 

 

 

4

1

変性胚

6

2

4

 

 

 

 

2

1

計

19

8

6

4

 

 

1

10

3

          胚の凍結:8%または10%(V/V)エチレングリコール

 

[その他]

 研究課題名:黒毛和種供胚牛の効率的利用技術に関する研究

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成6年度(平成3~7年)

 研究担当者:前田淳一、松井 司、吉野則夫

 発表論文等:牛の過剰排卵処置によって得られたDランク胚の発育能力に関する研究、

       第5回西日本胚移植技術研究会、1994。

 

鶏ロイコチゾーン病の採卵鶏銘柄による感染率の相違

[要約]鶏ロイコチトゾーン病の感染程度を調査したところ採卵鶏銘柄間で感染率の相違が認められた。

福井県畜産試験場・養鶏課

連絡先

0776-81-3130

部会名

畜産

専門

診断予防

対象

家禽類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

鶏ロイコチトゾーン病は、ニワトリヌカカが夏場に多発し、採卵鶏では、軟卵の増加や産卵低下などの被害が大きい。飼料安全法の施行により、産卵中の鶏に薬剤は使用できなくなった現在、完全な防除方法はなく、ある程度の感染は覚悟しなければならない。

平成4年度は白玉鶏Aと赤玉鶏A各48羽(24羽×2反復)、平成5年度は白玉鶏Bと赤玉鶏B各56羽(28羽×2反復)を供試鶏とし、鶏ロイコチトゾーン病の感染率に相違があるかどうかについて検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)白玉鶏Aと赤玉鶏Aの抗体陽性率を調査したところ、6、7月は、両銘柄とも陰性のまま推移したが、8月から陽性鶏が認められ、9月には、白玉鶏Aで85%、赤玉鶏Aで20%であった(表1)。

(2)白玉鶏Aと赤玉鶏A各20羽の血液塗抹による原虫検査では、6、7月には確認できなかったが、8月に入り白玉鶏Aで5%、9月に白玉鶏Aで25%、赤玉鶏Aで15%と原虫が認められた。

(3)銘柄ごとの産卵率の推移は、感染があったと思われる8月中旬から9月上旬にかけて、白玉鶏Aでは、89.5%から75.9%にまで低下した。一方、赤玉鶏Aでは、5.2%の低下であった(図1)。

(4)白玉鶏Bと赤玉鶏Bの抗体陽性率を調査したところ、7、8月は、両銘柄とも陰性のまま推移したが、9月から陽性鶏が認められ、10月には、白玉鶏Bで50%であったが、赤玉鶏Bでは0%であった(表2)。

(5)銘柄ごとの産卵率の推移は、8月中旬から10月上旬にかけて、白玉鶏Bでは、85.5%から78.3%にまで低下したが、赤玉鶏Bでは3.3%の低下であった(図2)。

 

[成果の活用面・留意点]

採卵鶏の銘柄間で、ロイコチトゾーン病の抗体陽性率は異なり、赤卵鶏は抗体陽性率が低い銘柄であることがわかった。今後、この原因等について検討する。

 

[具体的データ]

 

表1 抗体陽性率             (%)

銘柄

検査羽数

6/24

7/8

7/23

8/12

9/16

白玉鶏A

20

0

0

0

15

85a

赤玉鶏B

20

0

0

0

10

20b

注)異符号間に1%の危険率で有意差あり

 

 

表2 抗体陽性率                (%)

銘柄

検査羽数

7/16

8/3

8/26

9/10

10/12

11/11

白玉鶏A

20

0

0

0

20

50a

50a

赤玉鶏B

20

0

0

0

0

0b

0b

注)異符号間に1%の危険率で有意差あり

 

[その他]

 研究課題名:採卵鶏流通主要銘柄経済検定

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成6年度(平成4~5年)

 研究担当者:笠原香澄、坂本一美、加藤武市

 発表論文等:ロイコチトゾーン病の採卵鶏銘柄による感染の相違、鶏病研究会報、1995.。

       (投稿中)

 

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