第438回定例県議会提案理由説明要旨

最終更新日 2025年6月16日ページID 061080

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                                                                       令和7年6月16日                                                                第438回 定例県議会


                     知事提案理由説明要旨


                                               福 井 県

                                     

 

 

 第438回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および令和7年度6月補正予算案の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 

 はじめに、五木ひろし氏の長年にわたる御活躍と郷土である福井県への多大な御貢献に対し、その功績を讃え、先月10日に「福井県県民賞」を贈呈いたしました。また、五木氏には、この機会に「新福井県民歌」を歌っていただきました。この音源を大阪・関西万博などの様々なイベントにおいて活用し、本県の魅力を広く発信してまいります。

 

 さて、国道158号については、3月19日に大野市上半原で発生した大規模な斜面崩壊の影響により、岐阜県境付近での通行止めが続いております。現在、仮設の迂回路を設置する工事を進めており、夏休み前までの一日も早い供用開始を目指してまいります。

 

 通行止めの影響を受けた奥越地域への観光誘客策として、先月17日より誘客キャンペーンを実施しています。今後は、PR活動を一層強化し、迂回路の開通に向け観光客のさらなる来訪を促してまいります。
 また、六呂師高原では、新たに整備されたオートキャンプ場「SORA to DAICHI(ソラトダイチ)」が、来月19日から営業を開始します。恐竜博物館と相互に誘客を図るなど、県内外からの観光客誘致に努め、奥越地域のさらなる活性化につなげてまいります。

 

 次に、経済・産業振興について申し上げます。
 米国による関税措置への対応として、県では4月に総合相談窓口を開設するとともに、商工団体や金融機関などのトップをメンバーとする「米国相互関税対策会議」を開催し、意見交換を行いました。さらに、今月4日には、国に対し、関税措置の見直しに向けた粘り強い交渉の継続と、影響を受ける中小企業への支援を要望したところです。
 県としても、関税措置の影響を受ける中小企業に対し、販路開拓や新分野進出など収益力向上に向けた取組みを支援するとともに、関税対策分の経営安定資金を創設し、資金繰りの円滑化を図ってまいります。

 

 また、日本酒の原料である酒米の供給量不足については、JAと協議し酒蔵が必要とする量の酒米の確保を図るとともに、価格の高騰に対し、酒米購入費用への緊急支援を行います。これにより、貴重な地域資源である「越前・若狭の地酒」の継承、発展につなげてまいります。

 

 県内経済の持続的な発展のためには、物価上昇に負けない賃上げを着実に行い、人への投資と地域経済の成長の好循環を生み出すことが重要です。連合福井の春闘中間報告では、平均の賃上げ率が6.0%、上げ幅は17,445円となり、集計がある平成3年以降で最も高い水準となりました。引き続き、中小零細企業が賃上げ原資を確保できるよう、適正な価格転嫁や生産性向上などの支援を強く進めてまいります。

 

 さて、北陸新幹線福井・敦賀開業から2年目に入りました。
 令和6年の観光客入込数は、前年比309万人増の2,069万人、観光消費額も288億円増の1,513億円となり、開業による経済効果が顕著に現れました。開業から1年経過した現在も、来訪者は開業前に比べ全体で2割近い増加が続いており、依然好調を維持しております。ホテルや商業施設の建設、観光地の整備など県内への投資も継続しており、引き続き「投資とにぎわいの好循環」を生み出していきます。

 

 大阪・関西万博の福井県ゾーンについては、4面スクリーンを使った体験型の展示や実物の「さわれる恐竜のフン化石」の展示が大変好評で、連日定員を上回る人気を集め、開館から2か月で体験者が10万人を突破しました。アンケートでは9割以上の方から「面白かった」、「福井県に行きたい」との声をいただいております。
 この機会を活かし、大阪から本県への周遊旅行商品を販売するとともに、JR京都駅でのコンシェルジュによる本県への旅行提案など、インバウンド誘客をさらに拡大してまいります。

 

 次に、北陸新幹線の整備促進について申し上げます。
 先月12日、「北陸新幹線建設促進大会」を開催し、小浜・京都ルートによる一日も早い認可・着工を求める決議を採択し、沿線府県の自治体、議会、経済界等と一致団結して政府・与党に対し要請を行いました。また、今月1日に開催された県同盟会総会では、県内各界が一丸となって取組む姿勢を改めて確認しました。
 昨年末、与党において地元関係者等の懸念払しょくや着工5条件の確認に向けた方針などを取りまとめた「北陸新幹線(敦賀・新大阪間)の取扱いに関する中間報告」が着実に実行されるよう、県議会のみなさまをはじめ、沿線府県や経済界との連携を一層強化し、一日も早い認可・着工および全線開業を政府・与党に強く求めてまいります。

 

 アリーナ構想については、先週13日、福井商工会議所八木会頭から、様々な工夫により事業計画案を検討している中、整備費を150億円程度、最大で160億円程度と見込んでいるとの報告がありました。あわせて、経済界から県・市に対し、官民一体となったアリーナの実現に向けて、ふるさと融資や国交付金を活用した支援への要望をいただいたところです。具体的な事業計画の内容については、経済界において夏頃の取りまとめに向けて進めていただいているところですが、福井の賑わいづくりの核となる重要なプロジェクトとして、県議会のご意見を伺いながら、福井市とともに支援のあり方等について検討してまいります。

 

 次に、公共交通について申し上げます。
 ハピラインふくいについては、開業以来1日あたりの平均利用者数は約2.1万人となり、目標の2万人を6%上回っています。利便性向上を目的に3月にダイヤ改正を行い、日中の敦賀・福井間の列車を増便するとともに、敦賀駅でのJR線との接続を改善したところ、増便したほぼ全ての列車で利用者数が増加しております。今後も安全・安定運行を第一に、県民鉄道として多くの方にご利用いただけるよう努めてまいります。

 

 路線バスについては、就職奨励金や免許取得費用の支援により運転士の採用が進み、4月から4路線11便が復便しました。また、県職員による兼業運転士が2名採用され、順次運転業務を開始したほか、先月12日には、外国人運転士の採用に向けた検討会を立ち上げました。今後も、事業者や国、市町等と協議を重ねながら、運転士の確保とバス路線の維持・復便に努めてまいります。

 

 次に、県内の幹線道路網の整備について申し上げます。
 中部縦貫自動車道大野油坂道路については、橋の工事に課題が発生したため、開通時期が当初予定されていた令和8年春から、3年遅れて令和11年春になると、今年3月に国から報告がありました。このため、私は先月19日、「中部縦貫・北陸関東広域道路建設促進同盟会」の会長として、沿線の自治体とともに、国に対し早期開通に向けた提言活動を行いました。
 舞鶴若狭自動車道については、先週9日、中日本高速道路株式会社に対し、いまだ4車線化されていない区間の早期整備などを要請したところです。
 いずれの道路も、本県の広域的な交通ネットワークを構成する重要な幹線道路であり、中部縦貫自動車道路の一日も早い県内全線開通および舞鶴若狭自動車道の早期全線4車線化を目指して、県選出国会議員、県議会、沿線市町と協力し、国などに対し強く働きかけてまいります。

 

 次に、農林水産業の振興について申し上げます。
 水産資源の保護や海の環境保全の大切さについて県民の理解を深めるとともに、漁業のさらなる振興と発展を図るため、令和10年秋の「全国豊かな海づくり大会」を誘致いたします。福井の海の幸を全国に発信し、ふるさとの豊かな海と持続可能な漁業を次の世代へしっかりと引き継いでまいります。

 

 有機農業については、生産から流通販売、消費までの取組みを一体的に推進するため、官民連携のプラットフォーム「農林水産地方創生センター」を早期に立ち上げ、国の「地方創生2.0」が目指す農業の付加価値向上につなげてまいります。

 

 次に、こども・子育て応援について申し上げます。
 今月発表された本県の令和6年合計特殊出生率は1.46となり、全国で唯一、前年の水準を維持し、全国順位が2位となりました。また、令和6年度の男性の育児休業取得率は前年度から13.5ポイント増加し、過去最高の44.9%となりました。
 本県では、子育て環境のさらなる充実に向け、関連部局が連携して新たに「ふく育推進チーム」を設置したところであり、当事者の意見を丁寧に伺いながら、県民の出産・子育ての満足度を高める施策を強化し、日本一幸福な子育て県「ふく育県」をさらに進化させてまいります。

 

 次に、若い世代から「選ばれるふくい」の実現について申し上げます。
 令和6年度に県や市町の支援を受けて本県に移住した「新ふくい人」は、1,367人となり、過去最高を更新しました。その半数以上が20代、30代の子育て世代であり、福井県が子育てしやすい「ふく育県」として高く評価されていることがうかがえます。今後も県外での移住相談会などを通じて、本県の子育て環境や支援制度を積極的にPRし、さらに多くの移住者を呼び込んでまいります。

 

 また、先月22日に「日本創生のための将来世代応援知事同盟サミットinふくい」をハートピア春江で開催し、19県の知事・副知事が参加しました。私からは子育て支援の重要性と国の支援強化を訴え、全知事とともに「ふくい声明」を発表し、若者や女性に選ばれる地方の構築に向け、一致団結して行動していく決意を示しました。今後も、志を同じくする知事と連携し、“日本一の幸せ実感社会”の実現を目指してまいります。

 

 次に、教育について申し上げます。
 県立大学については、本年4月に全国初となる恐竜学部を開設しました。全国から志高い優秀な学生が集まり、一期生34名が入学しました。
 現在、恐竜博物館の隣接地に学部棟を建設しており、この財源として、個人向け県債「福井県立大学恐竜学部応援ボンド」を8月に全国で販売します。これにより、恐竜学部のさらなる知名度の向上を図るとともに、未来を担う学生たちの学びの充実を図ってまいります。

 

 高校教育の充実については、生徒が自分の将来や生き方を考える「ライフデザイン教育」を進めています。4月には、武生高校で約300人の生徒を対象に「地域デザイン講座」を実施しました。その結果、約8割の生徒が「福井県の未来に希望が持てる」と回答するなど、将来「福井で働き暮らす」ことの価値を認識する良いきっかけとなっております。

 

 また、国際交流に関心のある高校生が、学校の枠を越えて集まる「ふくいグローバルサークル」を新たに立ち上げ、現在128人の高校生が参加しています。今後、英語サマーキャンプや県内のグローバル企業との交流会などを通じて、グローバル人材の育成を進めてまいります。

 

 最後に、原子力について申し上げます。
 今月4日、古賀経済産業副大臣に対し、2050年以降も見据えた原子力の将来像のさらなる明確化とエネルギー政策の着実な実行や、使用済燃料対策に国がより前面に立って主体的に対応すること等について要請を行いました。古賀副大臣からは、第7次エネルギー基本計画に基づき、原子力政策を国が責任を持って実行するとともに、六ヶ所再処理工場の竣工目標の実現に向け、官民一体で責任を持って取組むなどの考えが示されました。県としては、引き続き、様々な機会を捉え、責任あるエネルギー政策の実行を国に強く求めてまいります。

 

 立地地域の振興については、2月に開催された立地地域の将来像に関する共創会議において、工程表に具体的な取組みが一部明記されましたが、引き続き、なお一層の取組みの具体化および取組みを進めていくための財源確保を求めていく必要があります。県としては、3月の武藤経済産業大臣および関西電力の森社長との面談、今月4日の古賀経済産業副大臣への要望において、取組みの推進を強く要請したところであり、次回の共創会議において、国や事業者の取組み状況を確認してまいります。

 

 以上、予算および事業を含めて申し上げました。今回の補正予算編成にあたっては災害復旧への対応に加え、米国関税措置への対応、国の支援に合わせた電気料など物価高への対策を講じることとしております。
 この結果、今回の一般会計の補正予算案の規模は、全体として52億円、本年度予算額の累計は5,069億円となります。その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。


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